内容紹介
本書は、2015年にスタートした「看護師特定行為研修」に関するテキストブックシリーズである。
ご承知のように、「看護師特定行為研修」が開始されたのは、予想以上の速度で進展する少子・超高齢社会に起因している。高齢者が増え、若い世代が減り続けている状況で日本の国民皆保険制度を守るためには、在宅でも適切な医療を受ける体制が必要であり、その担い手として、特定行為研修を積んだ看護師に、医師や歯科医師に代わって診療の補助を認めたのである。本書は、その「特定行為研修」の中で最重要と考えられる「多職種協働」「関連法規」「手順書の作成」「研修の活用と実践」を取り上げている。
ところで、日本語は難しいもので、本書のタイトルに「特定行為実践」とあるが、「実践」よりも「実戦」が適切ではないだろうか? いったん、そう考え始めると、そうかもしれないと思えてくるから不思議だ。
試しにインターネットの用語解説用のサイトで調べると、「実践」は「実際に行うこと・理念や方針があってそれを行うこと」であり、「実戦」は「実際に戦うこと」とある。やはり、「実践」が正しいようだ。
ただし、いささかこじつけになるけれど、「看護師特定行為研修」が、進展する少子・超高齢社会において日本が世界に誇る国民皆保険制度を守るための制度とするならば、この新しい制度は日本の未来を賭けた国を挙げた戦いの一環であると言えなくもない。つまり、「特定行為実践」はまた、「特定行為実戦」の面も有しているのである。本書の読者には、そんなことも頭に置いていただければ嬉しい。
本書を手に取った読者の多くが、新制度の担い手として活躍されることを心から願ってやまない。
(北村 聖「序文」より)
目次
第1章 看護師特定行為研修とは?
第2章 多職種協働実践を学ぶ
第3章 特定行為実践のための関連法規を学ぶ
第4章 手順書の作成過程を学ぶ
第5章 特定行為研修の活用と実践過程の構造